パナケア赤坂院 スタッフの後藤です。
前回のブログで「末期ガンの方へのエステ」について書いたところ、
読んで下さったお客様から、ご親戚(以降、A様)のトリートメントの
ご依頼をいただき、先日A様が入院する病院に出張し、
トリートメントを行って参りました。
A様は末期ガンで、腹水が溜まりお腹は大きく腫れていました。
その日から点滴や水分もストップされ、声も出せない様子でした。
最初に手を握ってご挨拶をしてから、まずは蒸しタオルでお顔を温め、
やさしく拭き取りました。
その後、温めたクリームでお顔のマッサージをゆっくりと行うと、
A様は気持ち良さそうに目を閉じ、
「はっ・・・はっ・・・」と静かに呼吸をされました。
お顔に触れると、頬や額の両端に比べ、鼻や額の中心、
いわゆる正中線が驚くほど冷たいことに気がつきました。
東洋医学では身体の中心を走るこのラインに重要なツボが点在し、
インドの伝統医学では「チャクラ」と呼ばれる生命活動に
必要なエネルギーの出入り口が正中線にあるとされています。
まさに生命エネルギーが流れている場所で、
そこが冷えているのだと感じ取りました。
お顔のマッサージが終わると、
A様が「せ・・・な・・・か」と声を振り絞って伝えてくれました。
「背中ですね」と返すと、
全く動けない様子だったA様がご自分でベッドの柵をつかみ、
横向きになって私に背中を向けました。
これは相当背中が痛いのだと察知し、場所や圧の強さを確認しながら
時間をかけて背中をマッサージしました。
私の祖父が末期ガンで亡くなる前日に声を振り絞って頼んだ言葉も
「せなか」だったのを思い出しました。
最後に左手を蒸しタオルで温めると、
右手を少し上げて「右手も」という意思表示があり、両手を温めました。
髪の毛をとかし、
「明日また来ます。またお手入れをさせてくださいね」と伝えると、
とても強く私の手を握り締め「こくっ」と頷かれ、
「ありがとう」とかすかな声で口を動かされました。
翌朝、A様が心停止されたとの連絡が入り、
本当に最期の最期だったことを知りました。
昨日のトリートメントで、亡くなる前にA様が一時でも癒され、
辛さから解放される時間が作れたことと、ただ願うばかりです。
本当に貴重な体験をさせていただきました。